2.
第二話 類は友を呼ぶ
私、財前マナミ。旧姓は石井。カオリと2人で財前姉妹って言われる後の麻雀プロよ。ここではまだ女子高生だけど。
物語は高2の春に始まったわ。
私達は高2の春頃に親の再婚で一緒に暮らす事になって。同じ部屋を2人で分けて使ってたからプライバシーなんか無かったわ。(特にカオリには)でもそれが今では良かった気がするの。おかげでカオリが私と同じ趣味を持っていることにすぐ気付けたから。
カオリの部屋には麻雀の本が沢山あった。雑誌、漫画、戦術書。ここから察するにカオリの麻雀は理論で詰めてくものなのかも知れないと推測できた。
私は全く逆で、私の持ってる麻雀グッズと言えば携帯型ゲーム機の麻雀やリアルな麻雀牌など実戦ありきで、私は実戦経験を何より大切にするタイプなの。
だから私はこれは好都合と、カオリから学んでこうと思った。
「麻雀部作んない?」
私は提案した。カオリには将棋部から探してもらうことにした。将棋部なら麻雀好きもいると思ったのだ。私は隣の席の黒髪の美少女を誘うつもりだ。彼女は佐藤ユウさん。普段は耳の隠れた髪型をしてるが私は隣の席だから彼女がピアスをあけてるのを知っている。そのピアスは小さなサイコロが2つピンゾロになってるピアスだった。サイコロを2つ使う遊びは麻雀しか私は知らない。きっと彼女は麻雀をする。そんな気がする。
「佐藤さん。今日ちょっと放課後時間あるかな」
私は佐藤ユウに話しかけてみた。
◆◇◆◇
私は佐藤ユウ。少し歳の離れたお兄ちゃんが大好きな普通の高校2年生。うちは共働きで両親とも家にいなかったり家でも仕事してたりして小さい頃から私はお兄ちゃんに面倒を見てもらって育った。
そのお兄ちゃんも今では仕事に出ちゃってるからあまり遊んでくれないし。
わかってるよ。高校2年生にもなったらお兄ちゃんと遊んでる方が変なんでしょ。でも、私はお兄ちゃんと2人でやる麻雀が好きだったな。お風呂掃除とかゴミ出し係とか今日の晩御飯作るとか、そんなことを賭けてやる麻雀。おやつのプリンを賭けてる時に微差で負けたのには泣きそうだった。そんな時にも真剣勝負を汚したくないからって言って負けた私にはプリンを「やっぱいいよ」とか言って渡したりは決してしないお兄ちゃん。でも、最後に「もう飽きた」とか嘘ついて一口分だけくれるお兄ちゃん。
ああ、お兄ちゃん。大好き。
お兄ちゃんとやる麻雀。楽しかったなあ。
なんで私達、成長しちゃうのかな。ずっとあの頃のままが良かったのにな……。
あの頃に想いを馳せて街の路上をぼんやりしながら歩いていたら全品千円という安っぽいペンダントや指輪やピアスが売ってる店でサイコロのピアスを見つけた。小さな黒いサイコロが2つ並んで1のゾロ目が出ているピアス。
サイコロを2つ使う遊びと言えば麻雀だ。私はそのピアスに一目惚れしてしまった。1の目の赤が宝石になっててとてもキレイだった。
「これ、ください」
「はいよー、千円ねー。ありがとう」
思わず買ったがピアスの穴はない。
(穴開けの機械買いに行くか……)
近くのデパートでそれは売っていた。今日は思わぬところでお金を使ってしまった。しばらく買い食いはしないで節約しよう。お金がないわけでもないが、
使い過ぎたら戻す。平たくしようとする力を意識する。それが自然の法則であり麻雀もそうだとお兄ちゃんに聞いたから。
その夜。
カシャン!
「痛ったーい!」
私の耳に小さな穴が開いた。
私はちょっとだけ大人になった気がした。
その数日後、隣の席の財前さんが私に話しかけてきた。
「佐藤さん、今日ちょっと放課後時間あるかな」なんて、なんだろう、なんだろう。
財前さんは背が丁度いいくらいに小さくて、前髪パッツンがとても似合ってて、そしてクラスいちの美人だ。なんの話だかわからないけどドキドキしてしまう。
それがまさか。麻雀の誘いとは夢にも思わなかった。
類は友を呼ぶ。それも自然の法則だってお兄ちゃんはそうも言ってたっけ。
3.第三話 テーブルゲーム研究部「…………ありません」 はー。負けた。私、将棋うまくないのかな。なんだろう、途中で面倒になっちゃうんだよね。読むの。自分の駒動かしてさっさと攻めたくなっちゃう。向いてないのかな。でも、悔しいな。 私、竹田杏奈。高校1年生。みんなにはアンって呼ばれてる。いとこのお兄ちゃんは将棋の天才で、私も自分で言っちゃうけど、そこそこアタマはいい方だからある程度、頭脳戦のゲームは強かった。 でも、ダメね。将棋は向いてないかも。攻めたい攻めたいって気持ちが前に出過ぎて読みが疎かになるのね。わかってはいるの。もう少し先まで考えなきゃって。でも、それが出来なくて。 それでも同級生の中では一番強かったんだけど、将棋部の上級生には敵わない。「やっぱ負けるとつまんないなー」と、私は当たり前のことを独りで呟いていた。 なんか、将棋にこだわることないかな。オセロとかチェスにも手を出してみようかな。自分の性格に合ったテーブルゲームがあるかもしれないし。 この学校の将棋部は強くて将棋部として知名度を上げていたが本来、この部活動の名前はテーブルゲーム研究部であり他のゲームも部室にたくさんあるのだ。私は久しぶりに倉庫を開けて別のゲームを見ていた。軍人将棋にダイヤモンドゲーム、モノポリーなど色々なゲームがそこには置いてあった。 その中で何だか分からない書道セットのようなエンジ色をしたケースが気になった。なんだろこれ。「よっ……と、なにこれ重っ!」コンコン! その時、部室の扉を叩く音がする。「どうぞー」「失礼します」 入ってきたのは黒髪ボブが似合う美人だった、青のリボンだから2年生だ。うちの学校はリボンが3色あって学年がわかるようになっている。今年度は1年生が赤色、2年生が青色、3年生は黄色のリボンである。正直赤が一番可愛い。私は今年ここに入れてラッキーだった。来年だったら試験を受けてすらいないかもしれない。黄色のリボンはピンとこない。少なくとも、私の好きな色ではない。青もしっくり来ない。性格に合わないと思う。赤の年度だったから入学を決めたのだ。 しかし、今入ってきた2年生には、やや切長の瞳に黒髪ボブで青のリボンというクールビューティーな組み合わせが見惚れる程似合っていた。「あなた、それ」 クールビューティーな2年生がその時急に私に近寄って
4.第四話 麻雀部結成 カオリもマナミも仲間を見つけたので麻雀部(非公式)は部活動が可能になった。4人いれば卓は立つ。とりあえず4人はファミレスに集まって、自己紹介と今後のことを決めるミーティングを行なった。「さて、今日集まってもらったのは他でもありません。私達は本日より『麻雀部』となります。部長は私、財前マナミが担当しましょう。こっちは私の妹のカオリ。そしてこちらの方が佐藤ユウさん私達は高校2年生よ」「こちらは私の高校の1年生。名前は…… なんだっけ」「竹田アンナです」「そう、竹田さん。彼女を将棋部から引っ張ってきました」 彼女達は話し合い、どこで活動をするか? その拠点をまず決めた。────「ということで、活動拠点はご両親が不在の時が多い佐藤さんちで決まりね」「隣も畑とか駐車場とかで離れているそうだから近所迷惑にもならなくて丁度いいね」 活動拠点を決めた所で全員が連絡先を交換してグループトークをできるようにして今日の部活動は終わりにした。そして次の日 早速、4人は放課後に佐藤ユウの家に集まることに。 高校は違っても帰る時間は同じくらいなので駅前で待ち合わせる事にした。佐藤ユウの最寄駅は水戸駅でそこから徒歩15~20分程の所に佐藤家はある。決して近くはないが友達と話しながら一緒に歩いていたら何も気になりはしなかった。むしろその時間も楽しいと思える青春時代そのものであったのである。「ただいまー」「おじゃましまーす」「おかえり」 佐藤さんの家には誰か男性がいるようだった。今日はご両親は不在だと聞いたのだが。「お兄ちゃんが居るみたい。でも大丈夫、お兄ちゃんは麻雀部を歓迎してくれるはずよ。だってうちのお兄ちゃんは雀荘で働いているの」「それは好都合! なら、お兄さんには顧問役をやってもらいましょう。顧問兼立会人」「引き受けてくれるかなあ」「大丈夫よ、美少女が4人でお願いしたら断る男なんかいないわ」「それもそうね」 少女たちは好き勝手に言っていたが実際、4人がお願いしたら簡単に佐藤兄は引き受けた。「えー、というわけで佐藤スグルです。顧問を引き受けたからには全力で頑張ります。よろしくお願いします」「部室はお兄ちゃんの部屋でいいよね!」「なんで、それは自分の部屋使えよ」「だって私の部屋は四畳半よ? お兄ちゃんの部屋は六畳だしコタ
5.第伍話 読みの竹田 まずは麻雀をやろうということで細かいことを考えるのはとりあえずやめて牌を触ることになった。 コタツの板をひっくり返す。そこには麻雀用のラシャがある。(これは特別な作りではなくて古いタイプのコタツは全部そうだ)押し入れから牌を引っ張り出してきてガシャッと広げる。黄土色の練り牌だ。「赤はどうする?」「1枚ずつ入れよう」「そうね、それが一般的だし、そうしましょう」「点数は?」「25000持ち」「イチニーヨントーね」 イチニーヨントーとは一万点棒を1本、五千点棒を2本、千点棒を4本、百点棒を10本という状態を原点としますという意味だ。一般的な麻雀セットに五百点棒は入っていないのでこれが通常。 牌をジャラジャラとかき混ぜて裏返しにして17枚を集める。それを1列としコタツの端っこでシャンときれいに揃えると、もう17枚をさらにそこにきれいに揃えて2列目も整え、その2列目の上に1列目を乗せる。ガシャン これを4人ともがやって『山』が完成する。牌の枚数は34種136枚なので17×8で丁度だ。サイコロを振って親を決めたらゲーム開始! ついにこの日、麻雀部の記念すべき一回戦が始まったのであった。東家 財前カオリ南家 財前マナミ西家 佐藤ユウ北家 竹田アンナ立会人は佐藤スグル「「よろしくお願いします!!」」 元気よく挨拶をしてゲームが始まった。「リーチ」打⑨ 東1局は親のカオリが見事な山読みをして先制リーチを打つ。しかしこの場には竹田アンナの罠があったのだった。その罠にカオリはものの見事にハマってしまう。竹田アンナ手牌二三八八⑦⑧233445西西 ドラは3 高め高めと引けばタンヤオも付くのでここから切る牌は西が合理的だと言える。が、アンナがこの時見ていたのはカオリの捨て牌とユウの捨て牌。 カオリの捨て牌には④③が4巡目5巡目と並んでいた。そして西家のユウは2巡目に西切り。アンナの選択打八 立会人のスグルはそれを見ていてこっそり耳打ちする。(あのさ、竹田さんは役は全部知ってるのかな?)(あ、タンヤオのことですか? 大丈夫ですよ。知っててコレ切りなんです。あとで理由は言いますね) スグルには意図が分からなかった。西はあとで安全牌として落とすことを考えてるのだろうか? でもこれは勝負手だからオリや迂回を考
6.第六話 学びの共有「さて、ここでちょっと止めてこの局の学びを共有しようか」とスグルが言う。佐藤スグルは立会人兼顧問だ、それを提案する権利がある。「まず、この局。カオリちゃんが凄かった。3巡目に捨てた六萬。これはなかなか切れないものだ。ユウの1巡目が九萬でありながら2巡目には西が出たことから六萬を持っていそうだと予想したんだよね?」 手牌に六九西とあれば七八をケアしている牌が六と九で被っているので字牌より先に九から打ち出すのが攻守において効率的な手順である。「はい、その通りです」 カオリは驚いた。あんな誰も見てくれないであろう一打をしっかり思考まで理解してくれているなんて。と。(さすが…… これが、仕事で麻雀をやる人間ということなのかな)「なので、チートイツ本線の手がきたカオリちゃんは薄い上にど真ん中の六萬なんかいらないなと嫌う。それが幸いして残した牌は重なりチートイツテンパイ。1枚切れの西かまあまあ良さげな⑨筒の選択だけど、それなら1枚切れオタ風単騎にした方がアガりやすいだろうと⑨切ってリーチ。見事な手順でした、しかし……」 そう、しかし…… だ。その手順は嵌められていた。「しかし、それを見こしていたのがアンナちゃんでしたね。序盤のど真ん中牌切りやリャンメンターツ落としを見て読んだわけだ。チートイツかチャンタか一色か単純に材料豊富で余ったか、決定は出来ないけど高確率で字牌を重宝してる手が入ってそうだと察して、西がもう無いという情報をタンヤオを犠牲にしてでもひた隠しにした。これが凄い!」「えへへー。この手は高打点確定の手でしたから不確定なイーハンくらい戦略のためなら下げてもいいし、捨て牌読みならテーブルゲーム研究部の私にはお手のものですゥ。将棋の読みと違ってその先その先って考えなきゃいけないやつじゃないしね。麻雀は私の性格に合ってるのかも!」 その後、東2局以降特筆すべき手順はなく、初めてのゲームは竹田アンナのトップで終了した。驚くべきは、スグルが見る限り誰も手順ミスをしていない。 スグルは彼女たちに麻雀を教えるつもりでいたがそれはとんでもない思い違いであった。既に4人は基礎は学び終えていて、むしろ自分が教えてもらうことが多そうだと、この半荘1回で痛感していたのだった。
7.第七話 ハイレベルな攻防 気付いたらもう佐藤家に来て2時間半くらい時間が経っていた。「あれ! もうこんな時間!? 帰らなきゃ!」 麻雀をやっていると時間が経つのが早い。それは全雀士が認めるところだと思う。とにかく麻雀は時間を奪う遊びなのである。「また明日も集まれる人!」そうマナミが言うとスグル以外の全員が同時にハイ! と言った。「え、お兄ちゃん集まれないの?」「変則シフトだからなあ。明日は多分難しいよ、また今度な」「じゃあ部屋だけ借りるね」「いいけど、あれこれ散らかすなよ?」「承知!」 今日の所はこれで解散とし、また明日ここで麻雀をする。そう約束して財前姉妹と竹田アンナは帰って行った。 次の日「…りち」 オーラスにマナミがリーチしてきた。まだ3巡目で安全牌は字牌1枚しかない。マナミは西家で2着目。トップ目のカオリは北家で16800点差。つまり、8000直撃でも転落しないし、3000.6000をツモられても捲られることはないということ。そして何よりマナミのリーチ宣言のやる気のなさ。「…りち」ってなんだよ。まあ二着でいいや。って言う気持ちが漏れてるような発声だ。(この辺かな?)一発目だけ現物を切るとそれ以降は差し込みに回るカオリ。「ロン。メンピン…2000」「カオリ先輩ここから差し込みなんて厳しいです~! だいたいハネマンだったらどうするんですか?」とオーラス親番だったアンナが言う。「アンちゃんは麻雀上手なのはもう昨日わかったから。モタモタしてたらアンちゃんにリーチされちゃうかもでしょ? リーチ棒出されたら(裏とか乗って満貫級になる可能性もあるから)差し込めないし。それに私達は仮にも姉妹よ。マナミが考えることなんてお見通し。このリーチは絶対に安いって分かってたの。まあ、わざわざ役ありを差し込ませるためにリーチしてるとは思わなかったけど」「へへ、ダマが普通かとは思ったんだけどね。でもリーチしたらカオリが差し込みするかと思って」「悔しいいい! アンナはハネマンの一向聴だったのに!」するとユウも「私だってハネマン好形二向聴だよ!」「おー危な!」 今回、カオリの差し込み判断は完璧な選択であった。それをさせるために役ありをリーチしたマナミもまたすごかった。 これから先このようなハイレベルな攻防が佐藤家の中で数々繰り広げられるこ
8.第八話 いざないのユウ 今日も今日とて麻雀部は研究熱心だった。1局1局をしっかり再現してその都度検討していくと分かってきた事がある。それは佐藤ユウの麻雀の駆け引きの巧さだ。「さっきの局のユウちゃんのリーチ…… ちょっと凄くなかった?」 このような話題になる度にその場面を再現する。 佐藤ユウの麻雀は相手をコントロールする麻雀だった。その駆け引きは素人のそれとは違い、巧く相手をいざなう麻雀で、例えば今日彼女が披露した技はこうだ。 ユウは全員がメンゼンでやっている14巡目に急にツモ切りリーチをしてきた。彼女は西家。 この宣言牌は下家のアンは鳴ける牌だったがそれによりユウのツモ回数が増えてハイテイまで渡すのは良くないと考えてスルー※。そうしたら危険牌を引いて詰んでしまった。また、親のマナミは一発で危険牌を引いてきてしまったので中盤までなら押し返したけど残りわずかで流れるのなら安全牌を切ってオリきれる。オリきれるから立ち向かう気にならないとしオリてしまった。 結果、このまま14巡目以降もユウがダマのままだとしたらテンパイとしていた2人がオリて3人テンパイのはずの局に1人テンパイとして開きマナミの親も落としたのだ。 この、西家にハイテイ牌を回したくないという心理とオリきれる場面で打ちに回るのはバカらしいという思考をうまく利用した14巡目リーチはユウらしい技が光る局であった。しかもそのリーチの内容は3枚切れのペン七萬で手の内に一盃口という役もあるのだ。確実にこのリーチは展開をコントロールするためだけにかけたリーチだったのである。 佐藤ユウの麻雀は賢者のいざない。後の世で佐藤ユウはこう呼ばれることになる。【いざないの女賢王】と。◆◇◆◇解説※鳴きという行為はツモ山からではなく捨て牌からもらうということなので本来減るはずの山の枚数がひとつ残る。そうなるとツモアガリの抽選を受ける回数が増える人が出てしまうということ。今回の場合鳴いたらツモ抽選回数が増えるのはリーチをかけたユウになる。 リーチ者にとってツモアガリ抽選回数が増えることは喜ばしいことなので相手に喜ばれるような鳴きはしづらい。
9.第九話 香織の秘録 麻雀部は毎日誰かは集まったが4人揃うとは限らなかった。 アンにはテーブルゲーム研究部の活動があるし(たまにはそちらも顔を出している)スグルは仕事でいなかったり寝てたり遊びに行ってたりするので顧問合わせて5人というのはやはり麻雀をするには少ないかもしれない。「あと1人欲しいわね」そうマナミは言う。「1年生がいいと思うの、アンだけ1年生なのはバランスよくないし3年生は遊んでくれる人はあまりいないでしょ」 そう話しながら今日はファミレスで会議をしながら自作の何切る問題を出し合っていた。今日集まったのはカオリとマナミとユウだけだったので牌を触らずに会議の日としたのである。「誘うなら何かこの活動に大きな目標があるといいわよね。甲子園優勝とか、そんな感じの」「そうね、そしたらこうしましょう! ドキュメント美少女達は麻雀で飯を食う! 少女が麻雀を生涯の仕事としていくまで。とか、どう?」「自分らで美少女名乗るのは昔のアニメみたいだけど大丈夫かしら」とカオリは笑った。「でも、いいアイディアねマナミ。スケールが大きくて笑える所と、それを夢物語で終わりにしなさそうな実行力が備わっていてすごくいい。それ、アリなんじゃない?」「では、私たちは生涯雀士として生きることをここに誓います!」「きっとアンも賛成してくれるわよね」「あの子は言わなくてもやりそうよ」 こうして麻雀部は《生涯雀士育成》の名のもとに本気の本気で麻雀をする者のみの聖地となり結果、その覚悟がある人なんてそうそういるわけがないから新入部員はなかなか見つからないことになるという問題にはまだ気付かないカオリたちなのであった。◆◇◆◇ その日家に帰ってからふと、ドキュメントという事は記録を残す必要があるのかと気づいた香織は密かに麻雀部のことをノートに記した。××年××月××日 今日は真実が麻雀を語ってたのが印象に残った。麻雀は気合いだと。真実らしいなと思ったし、それは一つの事実でもあると私も思う。 気合いの乗って無い時はどんないい牌が来ても活かせない。少しリードしててもあっという間に溶かしてしまう。 技術より先にまず力ありきだと真実は言いたいんだと思った。 技術を捻じ伏せる気合いの乗ったパワー麻雀を真実からは学んで行こうと私は思ってる。 私は彼女達になにか教えてあげれる
10.第十話 転校生ミサト その日、カオリのクラスに転校生がやってきた。「えー、今日からの転校生を紹介する。こちらは井川さんだ」 金髪に近い茶髪でロング。毛先をゆるめに巻いている。うちの学校は髪に対して校則はゆるいので何の違反でもないが、しかしここまで明るい髪色の人は珍しい。だけどなんだろう。すごく似合ってる。「井川美沙都です。12月25日生まれ。キリストのミサの日に東京都で生まれたからミサト。と言っても私はキリスト教じゃないけど。宗教なんて古い時代の発明でしょ、何が善で何が悪か自分の頭で判断出来るようになった現代人が頼るものじゃない。今の世には必要ないアイディアだと私は思っています。でも、自分の名前の由来はなんだかオシャレで好きなの。 親の仕事の関係で東京から引っ越してきました。よろしくお願いします」 なんか、強そうなのがやってきたな。とカオリは思った。「井川さんの席はとりあえず一番後ろに足しておいたからそこを使うように。分からないことがあれば前の席の財前が優秀だからそこに聞きなさい。ホームルームは以上だ」(あ、ほんとだ。後ろにいつの間にか席が増えてる)「財前さんよろしくね」「ええ、こちらこそよろしく井川さん」「ミサトでいいよ。ていうかミサトがいい。私、自分のファーストネームを気に入っているの」 カオリはいきなり下の名前で呼ぶのは馴れ馴れしくないか? と思ったが本人がそれがいいと望むのであれば仕方ない。「じゃああらためて、よろしくミサト」 ミサトはニコッと笑顔になって握手を求めてきた。「あらためて、よろしくお願いします! えっと……」「カオリよ」「カオリ、末長~くよろしくネ!」 この時の挨拶はまるで未来を予知するかのようなやりとりだった。 なぜならこの井川ミサトこそが財前姉妹の生涯のライバル。【護りのミサト】と呼ばれるようになる雀士なのであるが今はまだそんな事はお互い知るよしもないのであった。
76.第十伍話 新人王戦へ向けて「……って言うのが私と師匠の出会いなんだけど。その師匠が久しぶりに大会決勝に駒を進めて、しかし惜しくも敗れた。それもアマチュアに。それで、その大会で優勝したそのアマチュアってのがアナタの親友だっていうんだから麻雀界は狭いわね」と成田メグミはカオリに話す。「ですね。ユウは本当にすごいんですよ」「じゃあプロになればいいじゃない」「それは違うらしくて……」「今度彼女も連れて来なさい。アマチュアの参加も大歓迎だから」 今日は杜若アカネと成田メグミの主催する麻雀研究会だった。カオリは今回アカネが他の仕事でどうしても来られないという事なので成田の助手として参加し、ついでに自分も勉強させてもらうことにした。ちなみにマナミは『ひよこ』でバイトだ。3人とも抜けるのはリーグ戦の時のみ、基本的には誰か出勤するようにしていたので今日の出勤はマナミなのである。 カオリは最近はどこに行くにもポケットに赤伍萬を入れた巾着を持参していた。 《カオリ、ここにいるのは全員プロなんですか?》(分かんないわよ、私は麻雀マニアであって麻雀プロマニアではないから。だいたいプロ雀士は多すぎるのよ)《それは言えてます》「私もね、若い頃は準優勝2回したってだけでも期待の新人とか言って特集されたし、結婚前は『氷海メグミ』だったから、冷静沈着、氷の少女、とか言われててね」「へぇーカッコいい」「別に言う程クールな麻雀してたとは思わないんだけど苗字になぞらえたキャッチコピーを作りたかったんでしょうね。キャッチコピーなんてテキトーなんだなってあの時知ったわ」「メグミさんはどっちかって言うと熱い打ち手ですもんね」「そうよ! でも、今はある程度いい成績出しても当たり前みたいな風に見られるだけのベテランになっちゃったわ。も
75.第十四話 アカネとメグミ 杜若(かきつばた)アカネは杜若家の次女で小説が好きな子供だった。特に好きなのは推理小説で探偵ものには目がなかった。そんな小学生だったので世間には少々変わった子だと思われた。 ある日、何を思ったかホームセンターに行った際に乾電池をポケットに入れてレジを通さず持ち帰ってしまった。それは無意識のうちの万引きだったが、この時こう思ってしまった。(万引きって気付かれないんだな)と。 そして、それ以来(探偵練習ごっこ)と称して、やれ針金を万引き。やれボルトを万引き。と必要のないものを(名探偵ならこのくらいやってのけるはずだ)というよく分からない理由で窃盗した。 しかし、それが何回か成功してエスカレートし、次は下州屋という釣具店でフライフィッシングの疑似餌セットを盗もうとした……が。「ちょっと来てもらおうか」 店長と思われる人物に腕を掴まれる。「ポケットの中、見せて」「…はい」 アカネは素直に降参して疑似餌セットを出した。「これだけで全部?」「全部です」「いま警察呼ぶから。あとは警察の人に任せるから、この部屋で反省して待ってなさい。私は忙しいからもう店番に戻るけど、二度とやらないように!」「…はい」数十分後 お巡りさんが到着する。アカネは近くの派出所に連れて行かれた。「なんであんな必要ないものを盗もうとしたのかな?」「…探偵ごっこでした」「え?」「名探偵に憧れてて……探偵ならあれくらいわけなく盗み出しそうだなって」「呆れた、それは探偵じゃなくて怪盗じゃないか。敵だよ敵」
74.第十三話 ホール捌き 泉テンマは池袋の駅前喫茶店で働いていた。そこは自分のイメージしていた喫茶店の仕事とはまるで異なり、ひたすらハードな労働だった。「喫茶店っていったら浅○南の実家みたいなのんびりした感じじゃないのかよ…… すげえキッツイじゃん……」 トゥルルルルル! トゥルルル…「はい! お電話ありがとうございます。まーじゃ…(じゃなくて)喫茶pondです」『まーじゃ?』「あ、ごめんなさい。つい最近まで働いてたのが雀荘だったもので、うっかり」『泉くんか。私、石田。あのさ、店長いるかな』「ちょっと今、近くに買い物行ってますね。多分すぐ戻りますけど」『あっ、そう。じゃあ伝えておいて欲しいんだけど、今日子供が熱出しちゃって病院行くから2時間くらいは遅刻するって言っておいて。その後は分かり次第また連絡するけど、最悪休むかもしれないから』「分かりました、お伝えしておきます」『じゃ、悪いけどお願いね』「いえ、お気になさらず」『ありがとう』 そんなわけで今日はテンマがホールも担当することになった。そこでテンマの先読みしたホール捌きが開花する。(あの3人は窓から目立つ所に案内して店内が繁盛している風に見せよう)やら(あの席は1人で静かにコーヒーを楽しむ人のための席だから近くにはギリギリまで人を案内しないよう配慮してキープしよう)やら(ちょっとマナー悪そうな人だな。酔っているのか? 常に視界に入るようにレジ近くに案内した方いいだろう)などの理由で人を案内配置して店内を支配した。 それらをやった上でレジ横の簡易キッチンでパフェやコーヒーを作り。厨房でナポリタンを作り、洗い物もした。(疲れた~。もうだめ、もう帰りたい) 石田が来
73.第十二話 真のサービス業 スグルの接客は高く評価された。それは何も卓外のことだけではない。スグルは卓内でも優れた接客をする従業員だった。その最たるものが、人知れず行う、誰にも気づいてもらえず感謝もされない接客にあった。 ラス前の北家でスグルがトップ目という時にそれは遠目に卓を見ていた1人立番のマサルにだけ発覚する。東家1巡目打北南家1巡目打北西家1巡目打北 と来て、スグルの手は一二三①③⑥⑦125578北ドラは④ 配牌でピンフ三色のリャンシャンテン……というか北を持っているからそれを切ってしまえば4人全員が1巡目に同じ風牌を切ることによって起きる特殊ルール『四風子連打』が発動してスグルのトップ目のままオーラスを迎えられる。 親は2着目なのでその方が絶対いい。しかし、この時代の麻雀店にはメンバー制約というものがあり(従業員による途中流局は禁ずる。※オーラスのトップ確定終了時は例外とする)というものがあった。つまり、この手は流せばトップが転がりこんできそうだが、流すわけにはいかないのがメンバー制約ということだ。そのことはもちろんスグルは承知している。(『うわ、流してぇー』って思ってるだろうな。それでも……)北家(スグル)1巡目打①(うん。よくその手、この点棒状況から三色捨ててまで制約を守った。偉いぞ!)スグル2巡目ツモ⑤
72.第十一話 贅沢な生き方「はー、食べた食べた。ごちそうさまでした」 紙ナプキンで口元の汚れを拭うとメグミは先程の話の続きをし始めた。「でえ、井川さんの何が凄かったかって大三元の局ね」「あれは凄かったですよね!」とマナミも言う。「うん、結果的にアガれたし。凄いのだけど。何が凄かったかはその結果の部分じゃないの」「っていうと?」「あの時、私は井川さんの対面の手を見てたわ。対面にいたのは私の同期だからちょっとだけ興味があったの。そんなに仲良しでもないんだけどね」「そう言えば対面を見てましたね」「うん、でもね。途中で遠くから見てるマナミの瞳孔が開いたの。動きも止まるし。カオリちゃんなんか『ぽかん』と口開いてるしで。(何かが起きてる)って思って。自販機に飲み物買いに行くふりして移動してみたわ。対局者の周囲をグルグルするのはマナー違反だからね、さりげなーく移動したのよ。そしたら大三元じゃないの」「ど、瞳孔??」かなり離れて見ていたつもりだったがメグミはどんな視力をしているのだ。いや、それよりも。なぜ外野の反応に気付いたりできるのか。プロはこわいな。と思うマナミたちだった。「少なくとも、私の同期はそれで気付いて止めたっぽいわね。本来なら一萬が止まる手ではなかったから」「そんな、ごめんねえミサトぉ」「いいわよ、おかげで大三元になったし、結果オーライよ」「凄いのは井川さんのその雰囲気。全然分からなかった。少しも役満の空気にはなってなかった。たいした手じゃないよ、みたいな顔で。あんな演技はなかなか難しいわ」「あの時は自分は5200を張ってると思い込ませていたので」「どういうこと?」「あの白仕掛けはマックス16000ミニマム5200のつもりで鳴き始めた手でした。なので5200だと思い込んで打つことで役満を悟らせない空気作りを心掛け
71.第十話 レートはタバスコ「はい、チキンステーキとラージライスです。器はお熱いのでお気を付けください」「はい」とカオリ。「スパゲッティナポリタンとほうれん草のソテーです」「はーい両方私です」と奥から手を伸ばしてミサトが受け取る。「いただきまあす」「ちょっと私タバスコとってくるね」とミサトが出ようとするので「いいよ私が持ってくる。私もちょうど飲み物おかわりしたかったし」とカオリが気を効かせる。「ありがとう、じゃあお願い」「タバスコと言えばさ。レートはタバスコって話知ってる?」とマナミが言ってきた「なにそれ、知らない」「ネットで麻雀戦術論を公開してる『ライジン』って人の記事が面白くて。その人の日記に麻雀のレートについて書いた記事があったんだけど。それがすごくいいのよ」 そう言うとマナミはそのSNSを開いて見せてくれた。◆◇◆◇××年××月××日××時××分投稿者:ライジン【麻雀のレートについて】 ごきげんよう、ライジンです。 今回は麻雀のレートとギャンブルについて語って行こうと思います。 結論から申し上げて、麻雀はギャンブルの部類に属さない。素晴らしい『競技』です。なぜなら、麻雀はあまりにもルールに縛られているゲームであるから。 まず、リーチについてですけど。 麻雀がギャンブルだと言うのなら勝負手なので10倍賭け
70.第九話 3面張固定のリスク「「カンパーイ!」」カチン! 学生3人はドリンクバーのコーラとメロンソーダで。メグミは中生で乾杯した。 ゴクッゴクッゴクッ! と生ビールを飲むメグミはどこかオッさんぽくもあるが、大人の女性の色っぽさもあり魅力的に見えた。「……っはーー! ウマい!」 メグミはテーブルに4分の1の大きさに折って敷いたおしぼりの上に中ジョッキをゴン! と置くと今日の事を話し始めた。「まず、マナミは最強。まじでつよい。アンタには才能を感じる」「えへへ~。そうですよねえ」となぜかカオリの方が喜ぶ。「あんたら2人はさっさと上位リーグに上がって麻雀界を盛り上げちゃいなさい。今の調子なら出来るでしょ」「がんばります」「んでぇ。井川さん」「はい!」「最終戦だけ見てたんだけど、素晴らしいわね。特筆すべき点はふたつあったわ」「ど、どこでしょう」「ちょっと紙とペンない?」「あります」とカオリがスッと差し出す。カオリは何かあればすぐメモ書きして自分のノートに書き込む習慣があるので筆記用具を持っていない時などない。ポケットの中には小さなリングノートとボールペン。それと小さな巾着袋。袋の中には赤伍萬が入っている。裸で持ち歩いていると、もし仮に対局中に病で倒れるなど不測の事態で気を失った場合にポケットを探った人がこれを見つけたらイカサマを疑うかもしれない。なので巾着に入れて持ち歩くことにしたのだ。「ありがと」と受け取るとメグミはサラサラと牌姿を書いた。三三四③④⑤⑥⑦⑦56799 ドラ5「この形」「あっ、私の五回戦東2局!」「そ
69.第八話 伝説の姉妹「はい、全卓終了しましたので新人は牌掃除をして他の選手は速やかに退場して下さい。お疲れ様でした!」 全ての卓が対局を終えたら新人は牌をおしぼりと乾いたタオルで磨いてキレイにしてから会場を出る決まりだ。仕事でいつもやっているカオリとマナミは素早いがミサトは初めての事なのでカオリに教えてもらいながらやるが、中々うまく牌が持ち上がらない。それもそのはず、全自動麻雀卓は牌の中に鉄板が入っていてそれを卓が磁石で持ち上げて積んでいく仕組みだが、プロリーグは対局前に牌チェックという作業を行い少しでも亀裂や落ちない汚れ、欠けてる角などを発見したら即交換するので牌の中にある鉄板の帯びた磁力がマチマチ。持ち上げようとしてもカチッと揃いにくいのだ。「これは、ミサトじゃムリかもね。私達でやるからミサトはその辺でメグミさんと待ってて」「わかった」 カオリは手先が器用なので扱いにくいリーグ戦の牌もチャチャッとキレイにして2卓分清掃した。「はやーい」とマナミも驚く。「じゃあ行きましょうか」と成田メグミが先導する。新人3人にゴハンを奢ってくれるらしい。 3人は初めてのリーグ戦を終えて自分はついにプロ雀士になったんだ。という実感をしていた。それは、カオリにはひとつの夢だった。(夢って叶うんだなあ)そう思っていたらさっき牌掃除をした時から現れていたwomanが《何を言ってるんですか》と思考に入り込んできた。《まだこれからですよ。でも、今日の対局。いい麻雀してましたね。私は嬉しいです。カオリはどんどん強くなる》(コーチがいいからね)《そうですよ、神様を味方につけた姉妹なんてきっとあなた達だけですよ。伝説の姉妹になりなさい。きっとその願いは叶いますから》「カオリちゃんさっきから無言だけどどうしたの?」「へっ? あ、ああ。なんでしたっけ」「だからー、和食と洋食どっちにするかの話でしょ」
68.第七話 試される時 財前姉妹が暫定1位2位という衝撃的なデビューを飾っている時、井川ミサトだけが絶不調だった。なんと、ミサトはラスラスラスと3連ラスを引いて身も心も打ちのめされていたのだ。 しかし、そんな時だからこそプレイヤーの真価が問われる。この今日の最終戦でどんな麻雀が打てるか。 3回ラスになろうとリーグ戦は始まったばかり、5節あるうちの1節目なので20回戦のうちのほんの3回に過ぎない。ここは気持ちを切り替えて行くのが正解だが、初めてのリーグ戦でラスしか取れない状態から復活できるか。不調を抜け出せるか。マイナスイメージを持たないで戦えるのか。まだ学生のミサトにそんな精神力があるのか。 いま、ミサトの器が試される。 ひとつだけ幸運だったことがあるとすればミサトの卓も5人打ちなので三回戦終了後に一旦抜け番だということ。この抜け番でどこまで気力を持ち直せるか。(くそぅ、大好きな麻雀が…… いま、こんなにつらい。分かってる。楽しいばかりじゃないって。いま、私は、試されている……!)(まさか、あのミサトが3ラス食らうなんてね)(ミサトならきっと持ち直すわよ) と、マナミとカオリは先に対局を終えて遠くから観戦していた。(がんばれ!)(がんばれミサト!) ミサトの卓の五回戦。まだミサトにチャンスは来ていなかった。苦戦が続くミサト。ミサト手牌 切り番一一四六八⑤⑧⑨455白白中 ドラ⑤ ミサトはここから⑧を切った。ピンズはドラを活用した面子をひとつ持てばいい。それより役牌の重なりで打点を作る手順だ。すると中が重なる。打⑨(中切らなくて良かったわね)(これでもだいぶ